先日「アセスメント技術を高めるハンドブック」という本に出会いました。
読んでみて、「PSWとしてこの本に出会えて良かった!」と思いました。本書は医療・保健・福祉・心理専門職のために書かれた本です。
ブログをしていて思うのですが、精神保健福祉士は現場で役立つスキルをもっと学びたい人が実は多いのではないかと思います。
というのも、実践スキルに関する記事が常にブログ内の人気記事にランクインしているためです。
他の専門職種に比べて、精神保健福祉士は養成課程も実習も比較的短い期間で現場に出なければならないせいかもしれません。
スーパービジョンが機能している職場に就職した人はいいと思いますが、経験豊富な先輩がいる職場ばかりとは限りません。
本書はPSWとして成長したい、もっとスキルを身に付けたいという方にぜひおすすめです。
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精神科病院時代のアセスメント
私自身はインテークの取り方、ジェノグラムの描き方は最初に採用された精神科病院で実践で身に付けました。
病院では治療が優先されることから、大枠は主治医の治療方針に沿った形で動いていたと思います。
症状が改善し、退院の見込みが出てきた方については、退院後の地域生活に向けて関係機関の方も呼んでカンファレンスを開いていました。
当時はPSWとして、ご本人が地域でその人らしい生活を送れる点、入院から地域生活へ移行するにあたり切れ目のない支援に重きを置いていました。
いわば退院ありきの支援だったため、ある程度はアセスメントの方向性が定まっていたように思います。
これはあくまで私が勤務していた病院の話です。もっといろいろな取り組みをされているところもあるかもしれません。
しかし病院から今の職場に移り、すぐに医療が必要ではない方とも接するようになり、自分の中で「今のスキルではまだ足りない」というモヤモヤが生まれました。
そして思いました。
適切で、効果的な、的外れでないアセスメントがたてたい!と。
インテークとアセスメントの違い
本書で最初に気づかされたこと、それはインテークとアセスメントは「全くの別物」ということです。
インテークは情報の収集・整理です。情報の整理は具体的にはジェノグラムやエコマップなどを活用します。
一方のアセスメントは、情報の理解・解釈を元に仮説をたてる作業です。
全くの別物、レベルが違う作業であることが本文で強調されています。
特に印象的だったのは、インテークを取ってアセスメントをした気になってはいけない、というような内容でした。
いわれてみればそのとおりです。成育歴や病歴、家族構成をいくら詳細に正確にまとめ上げても、それはあくまでも情報の整理です。
ご参考にこの本におけるアセスメント定義と基本的枠組みについてご紹介します。下記は書籍からの引用です。
一つ一つの情報を自分なりに解釈し、それらを組み立て、生じている問題の成り立ちmechanismを構成し(まとめ上げ)、支援課題を抽出すること、あるいはその人がどんな人で、どんな支援をひつようとしているのかを明らかにすること
近藤 直司著 「医療・保健・福祉・心理専門職のためのアセスメント技術を高めるハンドブック」明石書店 2012年
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必要なのは整合性

上記は本書を読んで自分の理解を元にした図の一部です。
インテークとアセスメントとプランニングに必要なのは整合性です。
アセスメントを土台にしたプランニングについても本文には詳しく書かれています。
それぞれ整合性が保たれているかを振り返って確認する作業が、支援が的外れな方向に行くのを防ぐ手立てになります。
途中で見直しが可能
アセスメントは途中で見直しが可能です。
まずは自分なりの解釈を言語化して、それからほかの人のアドバイスを求めるやり方を本書から学びました。
情報収集と違って考える作業なので頭を使います。
また自分なりのアセスメントをたててみても果たしてこれが正解かと自信が持てません。
しかし、そうやって自分の頭で考える作業が一番重要なんだと思います。
大切なのは自分で見立てをしてみること。
インテークとアセスメントの関係に焦点をあてて述べてきましたが、本書はプランニングや効果的なケース会議の進め方についても指南があります。
1冊で多くを学べる本だと思います。
今後もアセスメントをたてる際に、本書の内容を意識して訓練を積み重ねていきたいと思います。