精神科病院の集団感染について思ったこと【緊急事態宣言下】

社会

この文章を書いている今、日本は緊急事態宣言下にあります。

新型コロナウィルスの感染拡大を抑えるために各地で休業要請が出され、人々は外出自粛をしています。

医療機関や福祉施設、市役所などでの集団感染が明らかになり連日の報道を見るたび驚いていましが、精神科病院における院内感染のニュースは中でも驚きを隠せませんでした。

自身も精神科病院に勤務していた経験から、大変難しい深刻な問題だと感じています。

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報じられた精神科病院の集団感染

報道による院内感染の概要はこうです。

精神科病院に入院された患者さんが発熱後、新型コロナウィルスの陽性であることが明らかになりました。

病院側は自治体など関係機関に転院を要請し調整を協議していましたが、転院先候補や受入れ病院が見つからず転院に至らなかったとのことです。

結果として病院内でクラスターが発生したものとみられています。

自身も精神科病院のPSWとして転院調整の業務もしていた経験から、転院の受け入れ先が見つからないのがいかに大変なことかがよく分かります。

平時であれば、感染の恐れがある感染症は件数自体が多くないため陰圧室など設備の整った転院先は比較的早く見つかっていたと思います。

(陰圧室:いんあつしつ。隔離用の個室。気圧が低く保たれていて病室内の空気が室外に流出しない仕組みになっている。)

しかし報道を見る限り、現在の状況はそれが実現できないほど医療体制が深刻なひっ迫状態にあると考えられます。

精神科単科病院の難しさ

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じつは精神科単科病院は院内でできる治療に限りがあります。

もちろん入院患者さんの中には精神疾患以外に元々の持病がある方もおられるため、内科が併設されていたり内科医がいるなど通常のフォローは可能です。

しかし院内ではできない外科的治療や専門治療を受ける場合には入院中であっても「他科受診」という形でほかの病院にかかることや、場合によっては治療を受けるために転院する場合もあります。

そのような精神科単科の病院で、いくら標準の感染防御策やそれ以上の予防策を積極的にとっていたとしても、陰圧室はなく防護服も通常は置いていない環境で働かざるを得ないスタッフの負担ははかりしれません。

また、感染予防対策として室内では空気が滞留しないように換気が推奨されていますが、特別な構造の閉鎖病棟ではそれも難しい場合があるのではないかと思います。

感染症の陽性患者さんにおいては、精神科と感染症の両方の医療を必要とされている状態にありながらどちらかしか受けられないのはご本人にとって不利益です。

さらにほかの入院患者さんにとっても安全なはずの病院で、感染症のリスクにさらされる可能性は否めません。

本当に難しい問題です。

病床が限られていたとしても精神科と感染症の医療を同時に受けられる転院先が見つかっていたらと思います。

厳しい医療体制の中、今後も精神疾患と新型コロナウィルスを併発する患者さんの発生は考えられますが、スタッフが安全に対応に当たることができかつご本人が治療を受けられる環境が整えられることを切に願っています。