【医療保護入院】家族等の同意者の範囲とは

精神保健福祉法

医療保護入院とは、入院治療が必要な患者さんについて本人の入院の同意が得られない場合の、家族等のうちいずれかの者の同意による入院形態をいいます。

今回はこの「家族等」の同意者の範囲について学んでいきます。

医療保護入院は精神保健福祉法第33条に規定されています。

(医療保護入院)第33条
精神科病院の管理者は、次に掲げる者について、その家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を入院させることができる。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

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「家族等」とは

医療保護入院の同意者となり得る家族等とは以下の3つに限られています。

  1. 配偶者
  2. 親権を行う者
  3. 扶養義務者および後見人または保佐人

詳しい内容は次から説明します。

配偶者

配偶者とは、法律上婚姻関係にある配偶者を指しています。

ですので、事実上の婚姻関係にあるいわゆる内縁のパートナーは同意者には含まれません。

親権を行う者

親権とは、父母が未成年の子に対してなす身分上および財産上の監督保護を内容とする権利義務の総称です。

父母が婚姻中は、父母が共同で親権を行う者となります。

ただし父母が婚姻中であっても、一方が行方不明の場合などは双方の同意は要しません。

そのような場合は単独で親権を行使するのみの同意で差し支えないとされています。

扶養義務者および後見人または保佐人

扶養義務者については民法に規定されています。

(扶養義務者)第877条
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

民法

上記の条文の扶養義務者は2通りあり、以下のようになります。

直系血族及び兄弟姉妹

実祖父母-実父母-(本人)-子-孫 or 兄弟姉妹

家庭裁判所の審判により、扶養義務が発生した3親等内の親族

例えば甥・姪、おじ・おばは3親等にあたります。

この場合、家庭裁判所の扶養義務者としての選任がなければ医療保護入院の同意者にはなれません。

精神科病院に勤務していたとき、甥・姪にあたる方がキーパーソンで入院相談が持ち込まれたケースが実際にありました。

キーパーソンが必ずしも同意者となれる方とは限らないので注意してください。

後見人または保佐人は、医療保護入院の同意者として認められています。

また家族等の同意を得る際に、後見人または保佐人の存在を把握した場合には、これらの者に同意に関する判断を確認することが望ましいとされています。

同意者に該当しないケース

行方の知れない者、当該精神障害者に訴訟をしている者、成年被後見人または被保佐人、未成年者に該当する場合は同意者にはなれません。

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患者が未成年のとき

医療保護入院に係る精神障害者が未成年である場合は、原則として父母両方の同意が必要とされています。

医療保護入院における家族等の同意者の範囲について解説しました。

精神科病院では必須の知識になります。

精神保健福祉士の方は特に理解しておきましょう!